Drプロットの恐竜教室 『第2話 化石編』

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僕、毛利隆史は週に一度のプロット先生の授業が待ち遠しかった。

「おはよ~」

いつもと同じ様に6Aの教室に入った。僕はびっくりした。

僕の机もイスも無い、もちろんみんなのも。先週の授業の事を考えて早く来た清高達が先に壁際やうしろへと片づけてしまっていた。

な~んだ、みんなも僕と同じで待ち遠しかったんだ。

「キンコーン」

始業のベルが鳴ったのに先生は来ない。

「清高!君が机を片づけたりするから先生の寝るところが無くなって来ないのじゃぁ無いか。」

僕がちょっと強く言ったので、弱虫の加藤清高がべそをかいて、

「だって、、、、だって」

「ガラッ!ゴン!」

「あっ、痛い!」

と言いながらリンボーダンスの様に足を広げ、腰を落とし、天井を見ながらプロット先生が入ってきた。

「日本の家は痛くて困る。」

と言ってハゲ頭を僕達の方へむけた。そこには3枚もバンドエイドが貼られていた。

「しかし、今日はどうしてみんなは立っているの?」

「だって、どうせ片づけるのでしょう。」

僕が言った。

「残念でした。今日は最初にお話をするから元通りに戻して。」

僕達はな~んだって顔をして机とイスを元に戻した。

「起立!礼。プロット先生、おはようございます。」

学級委員の大内清子の声でいつもの朝の挨拶だ。

「はい、おはよう。さて今日は先週の続きでヒューイが生きていた頃の話をしよう。みんなジュラシックパークを見たかい?」

「は~い。」

全員が一斉に手を挙げた。

「そうかじゃぁイメージは出来ているね。そうしたらその話は後にして、恐竜はいつ頃発見されたか勉強してきた子はいるかな?」

「は~い」

どうしてだろう。頭で考えるより勝手に僕の手が挙がる。しかも勉強なんて一番嫌いだから予習なんてしたことも無いのに、、、、

「オー、タカシすごいね。どんな勉強をしてきたのかみんなに話してくれるかい。」

「はい、一番最初にメガロザウルスを発見したのはイギリスのウイリアム・バックランドと言う人で1824年に発表してます。」

みんなが目を丸くして僕を見ている。でも、、、、僕もこんな事は知らないのに勝手に口がしゃべっている。

「そうだね。よく調べてきたね。でもね、それより2年も前にお医者さんの奥さんが同じ様な骨を見つけているんだ。それにしてもタカシは勉強が嫌いなのに偉いねえ。みんなに隠れて日曜日に図書館へでも行って勉強してきたのかな。」

僕はもう何もかも訳が分からなくなってきた。でも、誉められるのも悪くは無いなぁ。


「恐竜新聞の編集長じゃなくて恐竜博士にしよう。」

清子が叫んだ。

「そうだ、そうだ。」

「隆史は恐竜博士だ!」

「ハハハ、、、タカシは恐竜博士か。そうしたらこれからもみんなに色々と調べてきて教えなくちゃぁいけないなぁ。」

先生が僕の横へ来て頭をなでながら言った。

ヘヘヘ、、、なんか知らないけれど変な事になったなぁ、でも、、まぁいいか。

「じゃぁ話の続きをしよう。さっきタカシが1824年の話をしたけれど、実はね1677年に僕がメガロザウルスの大腿骨って足の骨だけれど見つけていたんだよ。でもね、そのころは恐竜が実在したなんて考える人は居なくて1800年代の中頃まで、その骨は大男の骨だなんて言われてたのさ。だから本当は僕が世界中で一番最初に恐竜を見つけたんだよ。まぁその時はこんなハゲ頭ではなかったけれどね。」

いったい先生は何を言っているんだろう。だって先生は40歳ぐらいにしか見えないのに、、、でも、、、、まぁいいか。

でも、なぜだろう。みんなはウンウンとうなずきながら聞いている。

「だからね、恐竜が発見されて学問として出来上がったのは150年ぐらい前からなんだよ。何が言いたいかと言えば、、、、そんな短い間に見つかった恐竜なんてまだ数える程しか無いから、新しく見つかるたびに歴史が変わっていくんだ。だから僕が教える事も明日にはウソになっているかも知れないって事を先に知っておいて欲しかったんだ。わかった?」

「は~い」

みんな揃って返事をしているけれど本当にわかっているのかなぁ。僕はわかるけれど、、、「じゃぁ今日はこれでおしまい。」

「え~何で?」

「何も勉強してないじゃん。」

僕と多古弘子が同時に叫んだ。

「エッ!何もしなかったっけ」

「頭を打っておかしくなったんじゃない」

島津直子がコソッと言った。

「オー、ナオコ!そうだよ。頭を打ったから忘れていたんだ。ごめんごめん。」

先生はどんな耳を持っているんだろう。誰にも聞こえなかったのに。

「えーっとメモメモ、、」

と言って自分の左の手のひらを眺めている。僕がそっと立ち上がって見たけれど、何も書いてなかった。

「あっソウダ!」

先生は小さくうなずいて頭の絆創膏を一枚はがして言った。

「ここに書いてあったんだ。」

普通バンドエイドにメモするか、、、、変な先生。

「そうだそうだ、、化石を勉強するんだった。今日は化石がどの様にして出来るかを考えてみようね。」

言いながら先生はバックパックのチャックを開けてゴソゴソと何かを探している。取り出した物はジャーン!

なんだ単なるチョークだ。僕もみんなも期待して先生のバックパックを見つめていたのに。続いて取り出したのがヒューイと同じ様なプラスチック製の小さな恐竜だ。これがまた大きくなるんだと、僕達はワクワク。

「この恐竜はね、今、岩が落ちてきてね、それにあたって死んだんだよ。」

と言いながらプロット先生が頭からしっぽまでをゆっくりとなでるとプラスチックだったのが、本物の恐竜が横たわっている様になってきた。

僕達はみんな席を立って先生の廻りに集まった。

ふと見るとチョークが勝手に黒板に水槽の絵を描いている。底には土が入っていて半分ぐらい水が入っている。

プロット先生はその中に手にした恐竜を静かに入れた。

恐竜はゆっくりと水の中を落ちて行き、身体の横半分ぐらい土の中に埋もれて横たわった。

「みんなよく見ているんだよ。」

先生が言ったとたんに水面にさざ波が立ち始め、それが目にも見えない程の早さで動き出した。でも恐竜の廻りの水は動かない。

「あっ、しっぽの方から骨が見えてきた。」

「おなかの骨も見えてきた。」

「土が増えてきたね。」

みんなそれぞれ勝手にしゃべっている。

恐竜が骨だけになった時、それは総て土の中に埋もれていた。更にそれから何層にも土が乗っかっていく。最後には水がなくなって、土だけになった。

一番底の層に恐竜が横たわって埋もれているのが見える。

「どうだね、判ったかな?これは数百万年もの間をVTRの早送りみたいにして、みんなに見て貰ったんだけれど、、、、、こう言う風にしてゆっくりと化石になって行くんだよ。」言いながらプロット先生はバックパックを引き寄せて

「これは少しおいておいて、、、、変な日本語、、、、ちょっとこれを見てくれるかな。」


取り出した物はやっぱりプラスチックのおもちゃだ。

先生はそれの羽根を優しくこすってやってから空中へと放り投げた。

「キャー」

清子が頭を押さえて叫んだ。

それはコーモリみたいな羽根を持っていて顔は恐竜で、しかも大きな長いくちばしを持っている。

飛び始めてすぐ清子の頭にある髪止めが気に入った様子で、清子の頭を襲ったんだ。

教室をぐる~っと一周して帰ってきた所をプロット先生がつかまえると元のおもちゃに戻っていた。

「これはプテロザウルスと言う名前だよ。でもこれはダイナソアじゃぁないんだよ。」


と、プロット先生は言いながらそれをバックパックにしまい込んだ。

「でも何とかザウルスって言うんだから恐竜でしょう。」

僕が言った。

「そうだね、よいところに気がついたネ。タカシ!でもねダイナソアは空を飛ばないんだ。日本では何でもまとめて恐竜って呼んでいるけれどね。これはフライングレプタイルと言ってねダイナソアじゃぁないんだ。」

と言いながら先生は、またバックパックから一つのおもちゃを取り出した。今度はヒューイみたいな形をしているからダイナソアだ。

見るとチョークが別の水槽の絵を黒板に描いている。

その間、プロット先生はニコニコしながら手にしたおもちゃをさすってやっている。しばらくして半分ほど水が入ったその水槽のなかへとそろっと、その恐竜を入れてやった。少しの間、それは水に浮かんでいたが、ゆっくりと潜って泳ぎ始めた。

「わぉ~、これも生きてるじゃん。」

「かわいい~~。」

 僕達は口々に言いながら黒板の水槽の方へ行った。そこへプロット先生の手がにゅーっと伸びてきて、その恐竜をつかんで水槽から出した。とたんにそれは元のおもちゃに還っていた。「さあ、これもダイナソアじゃあ無いんだよ。」手を拭きながらプロット先生は僕達に言った。「じゃぁ、先生、ダイナソアって何ですか?」また、僕の口の出しゃばりめ!「ははは、そうだねタカシだけじゃなくてみんなもちょっとこんがらがって来たんじゃぁないのかな。前にも言ったと思うけれど、ダイナソアって大きな変なトカゲって言う意味だから、空も飛ばないし、海でも泳がないんだよ。だからこれはマリーンレプタイルって言うんだ。日本では分類していないから空を飛ぶのを翼竜、海で泳ぐのを海竜としておこうかな。」手にしたおもちゃをつまんでみんなに見せながらプロット先生は言って、バックパックの中へそれを放り込んだ、、、が、思い直したのか又、手を突っ込んで、今度は小さなスコップを取り出した。スコップが今度はどうなるのだろうかと僕達は一斉にそれを見た。「もうそろそろ出来上がっている頃だから、キヨタカ!これで恐竜の上に乗っかってる土を外へ出してくれるかい。」「は~い」清高が大きな返事をしてスコップをつかんで黒板へと向かった。なぜか清高が掻き出した砂や土がタンクから外へ出ると消えてしまう。でも恐竜の骨の上の層までは確実に無くなって行ってる。コツンと音がして清高の手が止まった。「先生!固くてスコップじゃ掘れません。」「よしよし、うまく出来上がった様ダナ。ちょっと貸してごらん。」清高からスコップを受け取って柄の方をコンコンと打ち付けるとスコップの先がハンマーに変わっていた。先週に見た例のホッシキングハンマーだ。「さぁ、これで骨の廻りの岩をコンコンと叩いてごらん。」清高がそれを受け取って先生に言われたとおりにやった。すると恐竜の廻りの岩がきれいにひび割れした。「うまいぞ、キヨタカ、ヨシヨシ、ちょっと僕と替わってくれるかい。」と言ってプロット先生は水槽(と言っても元は水が有ったが今は無い)の中へ両手を入れて清高が割った石を持ち上げて机の上へと置いた。そうして、又ハンマーでコンコンと軽く全体を叩いて、バックパックからはけを取り出して掃除をした。「こういう風にして骨だけが表面に出る様にしてごらん。まずキヨタカ、口で上のゴミを吹き飛ばしてね。」清高が2,3度繰り返すと恐竜全体の化石が出てきた。「ワーォ」僕の口から出た言葉、、、「僕にもやらせて!」「私にも!」「ワーォ、僕達の化石だ!」「そうだね、これはだいたい1億2000万年前の恐竜だよ。ジャ、今日の勉強した所も新聞に書いておいてねキヨタカ!来週は、、、来週は、、、エ~ット、どこにメモしたかな、あっそうだ。」と言いながらプロット先生は頭の絆創膏を、また一枚はがして「来週は恐竜たちが生きていた時代を勉強しようね。今度はみんなにも発表して貰うから、家で勉強してきてね。」と言いながらプロット先生は僕達の化石をバックパックにしまい込んだ。

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このページは、小説家が2007年12月 5日 00:58に書いたブログ記事です。

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